後悔しないための「芝生」選び:あなたのライフスタイルに合うのは?
人工芝と天然芝、どちらを選ぶべきかは、あなたの生活環境や何を重視するかによって異なります。
3-1. 人工芝をおすすめする方
日々のメンテナンスに時間をかけたくない方: 仕事や子育てで忙しく、水やりや芝刈りをする時間がない方。
一年中、美しい緑の景観を維持したい方: 冬枯れの茶色い芝生を見たくない、常に完成された景観を求める方。
日当たりや水はけが悪い庭をお持ちの方: 環境が悪く天然芝の育成が難しい場所に設置したい方。
子供やペットが遊ぶスペースにしたい方: 泥汚れを気にせず、転倒時のクッション性も確保したい方。
ベランダや屋上など土のない場所に緑を取り入れたい方。
3-2. 天然芝をおすすめする方
初期費用をできるだけ抑えたい方: 特にDIYでの敷設を考えている方。
自然の風合いや四季の変化を楽しみたい方: 生きた緑の成長を楽しみ、庭仕事(ガーデニング)を趣味にできる方。
夏場も涼しく過ごしたい方: 芝生の持つ天然の冷却効果を重視する方。
火気(バーベキューなど)を使う場所として庭を活用したい方。
環境への負荷を考慮し、自然素材を好む方。
3-3. 選び方の具体的なチェックリスト
最終的な判断を下す前に、このチェックリストであなたの優先順位を確認してみてください。
質問 | YES(人工芝向き) | NO(天然芝向き) |
1. 芝刈りや水やりに時間をかけたくない? | YES | NO |
2. 庭の日当たりは悪い? | YES | NO |
3. 冬でも青い芝生が良い? | YES | NO |
4. 初期費用よりもトータルコストを重視する? | YES | NO |
5. 庭でバーベキューや焚き火をしたい? | NO | YES |
6. 芝生の手入れ自体を楽しみたい? | NO | YES |
YESが多い方は人工芝、NOが多い方は天然芝を選ぶことで、後悔の少ない庭づくりが実現できるでしょう。
4. 人工芝で失敗しないための「品質」と「機能性」の選び方
人工芝を選ぶ際に「価格が安いから」という理由だけで選んでしまうと、「すぐにヘタった」「安っぽく見える」「夏場熱すぎる」といった失敗につながりかねません。特に人工芝は一度敷くと張り替えの手間が大きいため、品質にこだわるべきです。
質の高い人工芝を選ぶための具体的なポイントを解説します。
4-1. 芝葉の「長さ」と「密度」をチェックする
人工芝のリアル感と耐久性を決める重要な要素です。
芝葉の長さ(芝丈):
20〜30mm(短め): 景観が整然として見え、掃除がしやすい。サッカーなどのスポーツ利用にも向く。
35〜45mm(長め): クッション性が高く、ふかふかとした天然芝に近い踏み心地。見た目のリアル感も高い。
密度: 芝葉が密集している(高密度)ほど、耐久性が高く、へたりにくいのが特徴です。低密度のものは芝が寝やすく、すぐに人工的な見た目になってしまいます。触ってみて、根元の詰まり具合を確認することが重要です。
4-2. 「色合い」と「形状」でリアル感を追求する
最近の高品質な人工芝は、驚くほど天然芝に近く作られています。
色合い(単色と多色): 均一な緑一色の芝は人工的な印象を与えがちです。高品質な人工芝は、緑色の濃淡(ライトグリーンとダークグリーン)に加えて、枯れ草を模した茶色の繊維(カールした短い毛)を根元に混ぜることで、より立体感のある自然な色合いを再現しています。
芝葉の形状: V字型、ダイヤ型、C字型など、芝葉の形状が工夫されているものは、光の反射を抑え、ツヤ感を少なく見せ、さらに倒れにくい耐久性を実現しています。
4-3. 快適性を高める「機能性」に注目する
特に日本の気候で快適に利用するために、機能性(スペック)も必ずチェックしましょう。
遮熱・抗菌機能: 夏場の高温化を防ぐ遮熱(防炎)加工や、カビ・菌の繁殖を抑える抗菌加工が施されている製品は、安全で快適性が高まります。
水はけ(透水性): 裏面の基布にしっかりと水抜き穴(透水穴)が開いているか確認しましょう。水はけが悪いと、水がたまってカビや苔の原因になります。
UVカット加工: 紫外線による色褪せを防ぐ加工は、人工芝の寿命を延ばすために必須です。
5. 天然芝を成功させるための「種類」と「メンテナンス」のコツ
天然芝を選ぶことは、庭を「育てる」ことを意味します。成功の鍵は、日本の気候に合った芝生を選び、適切な手入れをすることです。
5-1. 日本の気候に合う天然芝の種類
天然芝には大きく分けて「暖地型芝」と「寒地型芝」の2種類があります。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
暖地型芝(日本芝) | 高温多湿の日本の気候に適している。冬は休眠期に入り茶色くなる。 | 病害虫に強く、比較的管理が楽。踏みつけにも強い。 | 冬枯れがある。 |
(代表的な品種) | 高麗芝、野芝、TM9(改良高麗芝) | ||
寒地型芝(西洋芝) | 寒い地域でも生育し、冬でも緑を保つ(常緑)。暑さに弱い。 | 1年中緑を保てる。冬のゴルフ場などで使われる。 | 夏の管理が難しく、病害虫が発生しやすい。頻繁な手入れが必要。 |
(代表的な品種) | ベントグラス、フェスク、ブルーグラス |
初心者には「高麗芝」、特に芝刈りの回数が少なくて済む**「TM9」**などの品種が管理の手間が少なく、人気があります。
5-2. 最小限に抑えるべきメンテナンスのポイント
天然芝は手間がかかりますが、ポイントを絞れば負担を軽減できます。
水やり: 毎日与える必要はありません。土の表面が乾ききって、芝生がしおれ始めたサイン(葉が巻く、色が濃くなる)が出たら、一度にたっぷりと与えます。夏場の乾燥時以外は、頻繁な水やりは避けましょう。
芝刈り: 芝が伸びすぎると見た目が悪くなるだけでなく、病気の原因にもなります。成長が早い5月~9月は月2回程度を目安に、こまめに行うのがコツです。短く刈りすぎると芝が弱るので、芝丈の1/3までを目安に刈りましょう。
雑草対策: 雑草は芝生の養分を奪い、景観を損ねます。
手で抜く: 根からしっかり抜く。小さなうちに対処する。
除草剤: 芝生に影響の少ない芝生用除草剤を選び、定期的に散布すると手間が大幅に減ります。
6. まとめ:あなたの庭に最適な「緑」を選び、最高の空間を
人工芝と天然芝は、どちらも庭に「緑」をもたらしてくれますが、その役割とコスト、そしてあなたが費やす時間と労力は大きく異なります。
手軽さ・手間いらず・景観の安定性を求めるなら、人工芝。初期費用はかかりますが、その後のメンテナンスの自由度は何物にも代えがたいメリットです。
自然の風合い・癒やし・初期費用の安さを求めるなら、天然芝。手間はかかりますが、生きた緑の成長を間近で感じる喜びと、環境への優しさが大きな魅力です。
ご自身のライフスタイル、庭の日当たり、そして**「芝生にどれくらい関わりたいか」**という気持ちを正直に照らし合わせてみてください。
最高の選択肢は、あなたにとって負担が少なく、最も満足度の高い結果をもたらす方です。
この記事が、あなたの庭づくりにおける「緑」の選択を成功に導く一助となれば幸いです。理想の芝生を選び、自宅に癒やしと安らぎの空間を作り上げましょう。